蓮華の五徳
今年も17年前に唐招提寺様から頂いた蓮の花が咲きました。
仏教では、花と言えば蓮の花(蓮華)です。
阿弥陀経には、「池の中に蓮華あり、大きさ車輪の如し」と極楽浄土には蓮の花が咲いていると説かれています。どうして蓮の花が咲いているのかというと、それは、蓮の花が極楽へ生まれる人の心を表しているからです。その心については『蓮華の五徳』として示されています。

蓮の花を見るとき、悪しき心に迷い苦しむ私たち人の心にこそ、正しい信心の花を咲かすことができるという釈尊の言葉に思いを寄せて眺めてみてください。
『蓮華の五徳』
①淤泥不染(おでいぶぜん)の徳
踏み入れると身動きが取れなくなるような泥に汚されることなく美しく清らかに咲く蓮華は、常に過ちを犯しながら反省し再び立ち上がる人間そのものだと釈尊はおっしゃっています。
②一茎一花(いっけいいっか)の徳
蓮の花は一本の茎に一つの花しか咲きません。これは「私の代わりは私以外にいない」ということを指し示しています。喉の渇きも排便も代わることができないようにその人の懺悔、感謝もその人にしかできないのです。当事者だけが救いや学びを受けることができるということです。
③花果同時(かかどうじ)の徳
蓮は花が咲くのと同時に実ができます。さらに蓮の花は夜明けと共に一気に花が咲きます。目覚めたときに一気にことが進む様を花果同時と言います。気づき、発心が大切ということです。
④一花多果(いっかたか)の徳
蓮の花は一つの花からたくさんの実ができます。蓮の実は古くから滋養強壮や疲労回復、免疫機能の向上などの効能があるとされ、一つの花、一つの実から多くの幸せが与えられることを示しています。
⑤中虚外直(ちゅうこげちょく)の徳
中虚とは一見、穴だらけで弱そうな蓮の茎は、実際は穴が開いているから強いという意味です。また外直とは、外にもまっすぐに伸びる強さももっているという意味です。内にも外にも強さを持っているのが蓮の特徴でもあります。