擂粉木に込められた思い
大本山永平寺の庫院(寺院の台所)前の廊下には、大きな擂粉木(すりこぎ) がぶら下がっています。その擂粉木を参拝者に紹介する雲水は、「身をけずり 人につくさん すりこぎの その味知れる 人ぞ尊し」という和歌を詠んで説明します。
この和歌には、擂粉木に託して食事を作ってくれる人への感謝の気持ちが込められていますが、もう一方でその感謝の気持ちをもてる人も尊いことを教えています。
その教えとは、料理をいただく時にその料理を味わいながら作ってくださった方の手間や努力を思い巡らし感謝の気持ちをもって頂戴することの大切さです。もっと広く考えれば、食事だけではなく、他の人のために一生懸命努力している人の労苦を感じ取り、その行為への感謝の気持ちをもつことです。
この和歌は、そういう感謝の気持ちをもって、日々生活している人は尊い人だということを教えてくれる歌なのです。
東光寺の新本堂にも、前大雄山最乗寺の山主、余語翠巌老師によってこの和歌が書かれた擂粉木が吊されます。お参りの際には、手を合わせ、日々の努力と感謝の気持ちをもつことを誓願して頂けると有り難いです。