非思量NO.397 人間万事塞翁が馬

人間万事塞翁が馬にんげんばんじさいおうがうま

 今年も残り数日となり新たな年を迎えます。
 令和八年は丙午、十二支は馬です。馬の有名な禅語で思い当たるのは『淮南子』人間訓( えなんじ・じんかんくん)の言葉で、晦機元熙(まいきげんき)という禅僧によって広められた「人間万事塞翁が馬」があります。

 国境の塞( とりで) に住んでいた老人の馬が隣国に逃げてしまった。老人は「これは幸いの基になるだろう。」と言った。数か月後、その馬は隣の国の駿馬を連れて戻ってきた。すると老人は「これは不幸の基になるはずだ。」と言った。その後、老人の子が落馬して足を折ってしまった。人々が見舞いを言うと「これは幸いの基になるだろう。」と言った。一年後、隣国の軍隊が攻めてきて多くの若者が戦死したが、その子は足が不自由であったため戦わずに済み親子とも無事であったという人生においての禍福が定まりにくいことの喩えです。

 この禅語のように人生における幸不幸が予測できないのなら、それらに一喜一憂しすぎに上手くいっている時こそ自分が驕っていないか周囲に迷惑を掛けていないか自分の言動を見つめ直したいものです。また、自分に不幸が及んだ時も悲観しすぎずに前向きに考えるように努め、その経験を生かしていきたものです。
 馬は前進、飛躍の象徴でもあります。来年が皆様にとってより良い年になることを願っております。今年一年、当山早朝坐禅会に参加して頂き有難うございました。

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