令和六年七月の法話「施食会の意味」

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施食会の意味

毎年七月二十九日は東光寺の山門大施食会です。お盆の時期に行われることが多い施食会ですが、それはお盆の心と深く結びついているからです。 施食会には、その内容に合わせていろいろな名前があります。水の中の生き物や、陸の上の生き物の全てに対して供養する法要である水陸会(すいりくえ)や、 その場に集まった人々に分け隔てなく施しをする法要である無遮会(むしゃえ)などです。もともと中国でさかんに行われていた法要で、 日本には平安時代に伝わっていた記録があります。曹洞宗は禅宗の一つとして中国で生まれた宗派ですから、その教えが伝わった鎌倉時代の初めから「水陸会」が行われていました。 四世瑩山禅師の時代から「施食会」として行われるようになり、その後広く各地のお寺でお盆の行事として行われるようになりました。

「施食」とは食物を施すことです。誰のために食物を施すかというと、その対象はたくさんいます。以前は「お施餓鬼」と言われたように 物惜しみをして落ちるとされた餓鬼界にいる餓鬼たちを成仏を祈願する法要として行われます。自分にもある物惜しみの心を懺悔すると共に すべての生き物に対して慈悲の心で供養する事が大切です。供養と言えば自分の縁の深い家族への供養だけすればよいという気持ちになりがちですが、 今の自分につながる生命の流れや結びつきを自覚し、仏の教えに従って生きることを改めて誓う行事でもあります。ですから施食会は、 自分のご先祖の供養だけを行うのではなく、自分とは直接関係がない多くの精霊への供養も併せて行います。

様々な苦しみの中にいる精霊に思いを巡らし、小動物、魚、鳥、虫に至るあらゆる生き物に対しても思いを巡らし、 自分のご先祖と同じような気持ちで供養を行い、慈悲心をもって救いの手を差し伸べましょう。それこそが御仏の教える誠心の生き方なのです。

盂蘭盆会御和讃 二番

とわとき流るる悠久の歳月超えて
おしえ 目ざ仏法に目覚めしもろびとと
ご先祖まつる盂蘭盆会
まことおんくようささぐ誠心の御供養

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