坐禅会 No.351「七草粥」

七草粥 ななくさがゆ    厄災を恐れ一年の無事を祈る大事な日

セリ     ナズナ     ゴギョウ    ハコベラ    ホトケノザ    スズナ    スズシロこれぞ七草

 「七草粥」とは今日では正月7日の朝に食する粥ですが、もともと室町時代以前までは正月15日の「上元の日」に神仏へ奉納する重要な神仏でした。旧暦では1月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元といい、「三元」のしきたりとして贈り物の日と定めていました。日頃自分が侵したさまざまな罪を滅するために、神仏へ捧げ物をしたり、近隣の人々へ贈り物を差し出したりして、罪の許しをいただく懺悔の日だったのです。今では中元だけが贈答のしきたりとして残っていますが、上元の時期に食する七草粥には懺悔のしきたりが隠されているといえます。さらに正月の7日に七草の祝いをすることになったのは、中国の「人日」の習俗にしたがったものといえます。正月1日を鶏、2日を犬、3日を猪( 豚)、4 日を羊、5日を牛、6日を馬の日として、それぞれの日にはその動物を殺さないと定めました。そして7日を人の日(人日)として人間を殺してはならない日として犯罪者も刑罰を科せられることはなかったといいます。唐の時代になると7種類の野菜の汁物をつくり、それを食べて無病息災を祈るまじないが広まり、それが日本にも伝わり、古くから正月7日は、一年の吉凶を左右する大切な日となりました。

 いずれにしても正月7日や15日は、中国の伝説や故事を機縁として始まった食べるしきたりの日であり、一年を無事健康に生き延びるために必死に祈った祈祷の日だったのです。

参考文献「知れば恐ろしい日本人の風習」千葉公慈 著

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