無罣礙 般若心経を学ぶ⑦
いむしょとくこ ぼだいさった えはんにゃはらみたこ しんむけいげ
以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙
「空」であるから得るところはない。菩薩たちは、このように智慧波羅蜜(空)によっているから、心はいつも無罣礙(とらわれがない)なのです。
むけいげこ むうくうふうおんりいっさいてんどうむそうくぎょうねはん
無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顚倒夢想 究竟涅槃
とらわれないから、恐れ(恐怖)もないし、一切のまちがった考え(顚倒夢想)を捨て、さとり(涅槃)を実現することができるのです。
「心無罣礙」とは心にとらわれがないという意味です。罣礙とは、迷いや悟りという意識にとらわれたり、しばられたりしていることです。ですから、そういうことのない無罣礙とは、空の境地を示しているのです。
「顚倒夢想」とは、ないものをあるかのように思い込むことで、前に説明した根本の無知(無明)を表しています。
心の中にあるちょっとしたこだわりが、しだいに大きくなって不安となり、やがて恐怖となります。そういうときに無罣礙のやわらかな心で反省してみると、こわばった心は、しだいにときほぐされて、心の平安が得られます。この境地が「究竟涅槃」です。