非思量 NO.320

 しあわせの花 ~秋彼岸に寄せて~

 秋のお彼岸の季節となりました。
 春彼岸の時期にも紹介させていただいた染谷老師の詩を紹介致します。

 この詩のしあわせの花は、私たちが生きる衆生(この世)でしか咲かすことのできない花です。
 お釈迦様は、「蓮の花を見るとき、悪しき心に迷い苦しむ私たち人の心にこそ、正しい信心の花を咲かすことができる。」とお示しになりました。
 踏み入れると身動きが取れなくなるような泥に汚されることなく美しく清らかに咲く蓮の花は、常に過ちを犯しながら反省し再び立ち上がる人間そのものであるという意味です。
 道元禅師も「此の発菩提心、多くは南閻浮の人身に発心すべきなり」とお示しになられました。
 私たちが住む苦しみ多き現実世界(南閻浮)に生きているからこそ悟りを求める心(発菩提心)を起こすことができるという意味です。

 詩『心の土作り』には、喜び、悲しみ、楽しさ、穏やかさ、そして、苦しみ、慈しみ、怒りと疑い、めざめといった人間でなければもつことができない様々な感情がしあわせの花を咲かせるための手だてとして表されています。
 お彼岸はご先祖様の供養と共に、自分自身の生活を振り返り、リセットする目覚めの機会でもあります。詩の中のめざめのくわとは、自己の気付きや反省という意味と考えてもいいと思います。

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