非思量 NO.297

坐禅とは~ヨガ、マインドフルネスとの違い~

昨今の健康ブームによってヨガやマインドフルネスの教室がさかんです。今回は、混同されやすいそれらと坐禅との違いについて説明させていただきます。
結論から言うと、坐禅と、ヨガ、瞑想、マインドフルネスの違いは目的が違うのです。
まず混乱しやすいのが瞑想です。瞑想とは、心を整えようとする営み全般を表し、状態も行為(技法)も含まれます。瞑想するための技法にヨガ、坐禅、マインドフルネスが含まれます。緊張をほぐすために深呼吸をする行為も瞑想の一つです。
ヨガは、歴史上一番古くからある瞑想の技法であり、古代インドのヨーガが起源です。梵我一如を目的とし、「梵(宇宙・ブラフマン)」と「我(自分・アートマン)」の合一を目指す呼吸法と座法に特化した修行法です。20世紀に入ってから登場したマインドフルネスは、瞑想による効果を 社会の諸分野に応用させることを目的としています。ストレスの緩和や集中力の増大をめざす比較的気軽に行える瞑想体験です。
それらに対し、坐禅には何かを得るためにという目的がありません。 自他、損得、苦楽など相対的な世界から脱却することが禅ですから、目 的をもった時点で禅ではなくなります。

道元禅師は「身を正しくして、ただ ひたすらに坐る」(只管打坐)と示されました。それは姿勢を正し、次から次 へと起こってくる雑念に振り回されず、良し悪しの計らいをやめて坐る姿と心 こそが、本来の命を最も十全にはたら かせているということです。この坐禅 こそが真実にかなった仏の姿と言って もいいでしょう。
この坐禅の気持ちを日常生活のあら
ゆる事柄に生かすことが私たちの最良の生き方でもあるのです。

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