非思量 NO.293

無罣礙     般若心経を学ぶ⑦

 いむしょとくこ    ぼだいさった    えはんにゃはらみたこ    しんむけいげ

以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙

 「空」であるから得るところはない。菩薩たちは、このように智慧波羅蜜(空)によっているから、心はいつも無罣礙(とらわれがない)なのです。

 むけいげこ   むうくうふうおんりいっさいてんどうむそうくぎょうねはん

無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顚倒夢想 究竟涅槃

とらわれないから、恐れ(恐怖)もないし、一切のまちがった考え(顚倒夢想)を捨て、さとり(涅槃)を実現することができるのです。

 「心無罣礙」とは心にとらわれがないという意味です。罣礙とは、迷いや悟りという意識にとらわれたり、しばられたりしていることです。ですから、そういうことのない無罣礙とは、空の境地を示しているのです。

 「顚倒夢想」とは、ないものをあるかのように思い込むことで、前に説明した根本の無知(無明)を表しています。

 心の中にあるちょっとしたこだわりが、しだいに大きくなって不安となり、やがて恐怖となります。そういうときに無罣礙のやわらかな心で反省してみると、こわばった心は、しだいにときほぐされて、心の平安が得られます。この境地が「究竟涅槃」です。

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